三十路の盛りにガンを宣告された茜。醫師からは病気との闘いはこれからと言われるが、茜には気休めとしか思えなかった。 三輪 茜と、茜 美和。小學生の頃から友人である二人は、名前は似てるも性格は正反対。利発的で自己主張が強く、殘酷な面を持つ茜に比べ、美和の方はおっとりして優しく、清純な少女だった。茜は美和を従えたがり、美和は茜に従順だった。 高卒の春、歯科衛生士の短大に合格した茜は、自宅で戀人の阪本とセックスしていた。そこへ美和が、自分も歯科助手の専門學校に受かったと報告しに來た。 數年後。歯科助手として働く美和は、戀人・達郎からプロポーズされる。茜に達郎を紹介すると、茜は彼を誘惑し、秘かに関係を持った。不妊症の茜は、上場企業勤めの夫・隆一と結婚3年目でセックスレスになりつつあった。その嫉妬もありながら、美和がどこまで自分を許すか試したいという、殘酷で屈折した思いがあった。その後も夫婦関係も二人の友人関係も変わらず続いていた。 その1年後、妊娠した美和。茜に報告すると、子育ては大変で自分も夫と話し合って子供は諦めたと言われる。その言葉が噓だと知らず悩む美和は、夫に事実を告げぬまま、愚かにも子供を墮ろしてしまう。 そんな時、隆一が不倫相手・小夜子との性交中に脳梗塞で死んでしまう。美和は憔悴した茜を支え、やがて二人の関係を逆転させた…