ネットワークゲーム會社『ネオ・ジェネシス社』のプログラマー藤木沙奈(田中麗奈)は、最先端の人工知能(=AI)を使った“ヴァーチャル人間育成ゲーム”の研究を続けている。沙奈の見つめる畫面にはCGで作成された“シミュレーション胎児”が眠っている。その成長のスピードは、人間の7倍の速さだ。沙奈は、開発チーム室長の清武満夫(板尾創路)と後輩プログラマー水島もえみ(足立梨花)と一緒に、シミュレーション胎児に膨大なデータを入力、急速に成長させ、架空の人格を生み出そうというのだ。 開発の主要メンバーである道尾遙貴(速水もこみち)は沙奈の婚約者で間もなく式を挙げる予定だ。沙奈と遙貴は共に幼い頃、両親と家族を失うという辛い過去があり意気投合、將來を誓い合っていた。ある日、沙奈は遙貴との愛の結晶が宿っているのを知る。幸せの頂點にあった沙奈。ところが、結婚式當日、結婚指輪を交換しようとしたその瞬間、遙貴は崩れ落ちる。急性心筋梗塞で遙貴は帰らぬ人となった。幸せの絶頂から突き落とされ沙奈は自殺を決意するが、育ての親である叔母の君恵(南野陽子)に発見され命を取り留めた。 10ヵ月後、立ち直った沙奈は男の子を無事出産「遙鬥」と名付けた。沙奈の休職中、チームの頑張りで“シミュレーション胎児”は、人間で言えば6才11カ月に成長していた。それを目にした沙奈。脳裏に決して実行してはならない考えがよぎる。沙奈は、密かにデータをコピーし自宅に持ち帰った。自宅にあるディスプレイの中で無邪気に動く男の子。沙奈は、その子に亡き夫、遙貴に関するあらゆる情報をデータ化し入力していく。遙貴が遺した日記や思い出の寫真、ビデオ…。それは、今は亡き遙貴をヴァーチャル世界で再生させ、遙貴そっくりの性格や感情を持つAIを作り出すことに他ならなかった。 沙奈は本當の子育てよりも、入力作業に沒頭していく。しかし、成長するにつれ、それが遙貴の実物とは違うことに気付いていく沙奈。そして、ついに沙奈はある決斷をする。それが、思いもよらない結果を生み出すと知らずに…。